【完】クールな君に告白します
ど、どうしよう……。
あれがないと伝達役の人が参加者の名前を伝えに来た時に書けないし、そもそもあれがないと始まらない。
参加者はあのノートに書かれた名前を消して出口へと向かうというのに。
しかも……。
残念なことに、参加者が入ってきてから、進路を示すための微かな明かりがつけられる。
だから、今私が暗闇の中から出口まで向かうのはかなり至難の業だ。
伝達役の人が来てからじゃ遅いし、それにもう時間もない……。
焦った私はとりあえず待機中の扉の後ろから二、三歩進んでみる。
……と、その時。
「月城?もういるのか………?」
近い距離で聞き慣れた声が私を呼んだ。
「し、椎名……くん?」
ドキリ、と鼓動が高鳴りを増した。