【完】クールな君に告白します
椎名くんがどうして中に……?
混乱状態の中にさらに椎名くんがやってきたから、心臓が激しく動揺を表している。
暗闇の中じゃ当然だけど何も見えなくて、空気を裂くように必死に手を動かしたその直後。
パシッ、と宙を彷徨う私の手が掴まれた。
「……ここにいたのか」
「……っ、」
暗い視界の中、私には椎名くんの声だけが鮮明で。
掴まれた私の手は、途端に熱を帯びていく。
「あのっ、明かりをつけてもらえると……、」
「……悪い。外から中が見えないようにって、スマホのライトすら禁止らしいから……」
「そっ、そうだよね……」
「てか、お前。ノート忘れてどうすんだよ……」
不機嫌な声色を帯びた椎名くんの声と同時、私の手に握らせるように渡った物がノートだと気づく……。