【完】クールな君に告白します



 * * *

 
“お願いだから”……と。

暗闇の中で背を向けたオレ。


その背中に響いた、精一杯を絞りだすような月城の真っ直ぐな声。


背中に伝わる月城の震えた指先に鼓動は波打つ。


小さく裾を引っ張って離そうとしない。


どうしてお前は、そうやって、諦めることをしないんだろう。


自分自身、もうとうに諦めた思い。

何かを伝えたくてもどうせ誰にも届かないなら、もう二度と言葉にしないと堅く決めた気持ち。


誰かを傷つけるだけの自分なら深く関わることを避けて、ずっと一人でいた方が楽で。



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