【完】クールな君に告白します
「楓はそばにいてくれたよ……わたしの絵を、好きだって、言ってくれた」
「好きだったよ。紅葉の絵がすごく好きだった」
「………それなのに、わたしは自分を守るために、楓を傷つけることを言った。全部忘れて、なかったことにしてしまおうって。そうすれば……」
「辛くないからだろ?自分のせいじゃないって、思えるから」
「……っ、」
芯から驚いた紅葉の大きな瞳が悲しさと後悔に濡れているように見えた。
「オレだって同じだった。忘れてしまえば、紅葉の怪我もオレのせいじゃないって思えたから。だから、オレも同罪だろ?」
誰だって自分は傷つきたくないって思ったら、誰かのせいにして、逃げて。
それが正しくないってわかっていても気づかないふりをして、向き合うことからも目を伏せてしまいたくなる。