【完】クールな君に告白します
「どうして怒らないの?楓のせいにしたんだよ?それに、わたしは……本当は、絵が……っ、描けないなんて嘘をついてた」
「……、」
「金賞をとれる絵を描けなかったらどうしようって。そんな理由で、楓に最低な言葉をぶつけた……」
それは、唯一自分を守るための術だったから。
「いんじゃないのか?たまには、そうやって逃げたっていんだよ……」
「………楓?」
眉を下げて小さく問う紅葉の瞳がさっきよりもはっきりと滲んでいく。
今、オレは思うんだ。
それは、子供の頃から金賞という期待を背負い続けた紅葉の、弱さだったんじゃないのか。