【完】クールな君に告白します
本当は、ただ純粋に絵が好きだった紅葉。
そして、自分が大好きな絵を。
自分の思いを籠めた絵を大好きな父親に褒めてほしかったからこそ、その期待を一心に背負ってきた。
「描きたくないなら描きたくないって。期待も全て降ろせばいい。描けないなら、少し休めばいいんだ」
「っ、」
「だから、たまにはそうやって逃げたっていんじゃねぇのか。紅葉は紅葉らしく、楽しく描いていけばいいよ」
「……っ、」
目を見張ったその瞳から今度こそ堰を切ったように溢れだした涙が、紅葉の頬を伝っていく。
何度、逃げ出しても……。
もう一度向き合えば、強さに繋がると思うから。
それは、きっと、誰かの心に伝わる。