【完】クールな君に告白します
「……椎名くんの、バカっ、」
泡のように消えてしまいそうな、か細い声。
……心底、切なそうな表情。
周りの女の子達が目を見開いてこちらを見ている中、椎名くんから目を背けた春風さんが呟いた。
……けど。
椎名くんはその声に返すこともなくて。
春風さんを筆頭に、顔を紅潮させた女の子達が走り去っていく足音が遠くなれば、椎名くんは再び私を見下ろした。
「おい……お前も早く行くぞ」
と、鳴り響く鐘の音と供に、冷静沈着な椎名くんは、まるで何事もなかったかのようにそう言い放った。