【完】クールな君に告白します



ハートが書かれているのは正木のだろう。


少女漫画なみにオーバーに美化されたであろう正木の似顔絵と供に“友達”と書かれている。


文字だけでも、相当嬉しいのだと伝わる。


そして目線を動かした俺は、思わず息を呑んだ。



「……っ、」



なんで、こんなこと書いてるんだよ。

なんで、アイツは、俺の心配ばかりして。

ほんと、バカなんじゃないのか………。

バカは、隼人だけで十分だ。



   “椎名くんに、笑っていてほしいです”



いつ書かれたのかもわからない。


それでも、月城の小さく書かれた言葉に胸の奥が熱くなった。



ーーー“椎名くんの背中を押したいよ”
 

暗闇の中、月城が言った声が蘇って。


堪らなく、会いたくなった………。


踵を返したオレは、体育館へと走り出す。




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