【完】クールな君に告白します



オレが本当に、初めてお前を見た時のことを覚えてる。


不意に背後からかけられた声に振り向けば、あの頃のお前は下を向いて、震えていた。


誰と勘違いしてるのか、その時はまるでわからなかったけど。


きっと、月城なりの精一杯の言葉をぶつけていたんだろうと今は思う。



だけど、相手はオレじゃなかった。


どこかで見たことがある顔だと気づいたのは、月城と関わりを持ってからだったけど、そこで知った月城の瞳は後悔に濡れていた。



だけど、どうして諦めないんだよ、お前は。



そんなお前を見ていたら、いつの間にかオレ自身まで諦めたくないって思ってしまうんだ。


諦めることしか出来なかったオレに、どうしてお前は、そうやって言葉をくれるんだろう。



どうして、笑ってくれるんだろう……。




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