【完】クールな君に告白します
「だから、同じ話が出来たらいいなって思ったんだ……」
正木さん、すみません……。
実は私、まだ半分も読んでいないんです。
私なんかに話しかけてくれたのに。
正木さんは、他の女の子達はどこか違う大人っぽい雰囲気を醸(かも)し出していて、誰にも媚びず一人を好む、なんて聞いたことがあった。
だけど、本当は恋愛小説がすごく好きな人で。
「聞いてる?もしかして、いきなりわたしが話しかけて……嫌、だった……?」
私は、首を高速ぶんぶんさせてみせる。
嫌なわけがないですっ!と言いたくて、つい。
「……はぁ、よかった」
そんな私を気味悪がったりせずに、長い髪を耳にかけて微笑んでくれた。