【完】クールな君に告白します
ーーーどこかで見たことある女だってことだ。
最初は、そんなこと思ってもみなかった。
いつも分厚い前髪で表情を隠して、陰を落とす月城の髪を掻き分けるまでは。
「……ごめんなさい、」
「……っ、」
消え入りそうな声が耳に届いて、そんなありえない勘違いを振り切るように手を離せば、指の間から逃げていく月城の分厚い前髪。
雨に濡れた猫のように少しごわついた髪……。
「私、頑張ります……椎名くんに迷惑をかけません。そのためには、早く……こ、告白を、終わらせますから……っ、」
昨日から、口を開けばごめんなさいだとかマイナスな発言ばかりが出てくる月城の肩は、小さく震えていた。