【完】クールな君に告白します
……突然、伸びた椎名くんの手によって掻き分けられた前髪。
思わず、胸がドキッと大きく揺れた。
近距離で見つめた先には椎名くんの端正な顔があって、ブラウンの瞳は驚きすぎた私のまぬけな顔を映していた。
そのせいか……正木さんと話せたことを報告しようと思っていた私の呑気な考えは、瞬く間に消滅してしまって……。
だって、なんでか上手く説明出来ないけれど、今の私は椎名くんの顔を見ることが出来ないから。
「……どうしたんだよ?」
「……っ、」
頬が、熱を持ったまま冷めてはくれないから、顔を向けることも出来ない。