【完】クールな君に告白します



 * * *


お手製名簿の正木さんの名前のところにハートマークをつけたところで、私は席を立った。


放課後になれば廊下は薄暗くて少し怖い。


そんな場所にピッタリな私を避けるようにする女の子達を、私は前程傷つかずに駆け抜けていくから不思議だった。



向かう先は、待ち合わせの図書室ーーー。



「……しっ、椎名くん!」



扉を開ければ窓辺のーーー私のいつもの特等席に、その後ろ姿が見えて、息を整えながら名前を呼んだ。



「オレじゃなかったらどうすんだよ?」



無愛想に振り返った椎名くんの、キャラメル色の髪が夕陽を浴びて綺麗だった。



< 83 / 563 >

この作品をシェア

pagetop