【完】クールな君に告白します
特等席……からは、ほんの少し、離れてるけど。
視線は必然的に窓の向こう側へといってしまう。
「オレかどうか、今度から確認しろよな」
「はい……気をつける、ね……」
おかしな日本語になってしまったのも、ついつい意識が体育館へと向いてしまっていたからかもしれない。
敬語をやめろと言われた日から一週間は経つのに、なかなか慣れないのは、相手がみんなの王子様だからなのかな。
「……別に、無理はしなくていいから」
それは、敬語を?
それとも後ろ姿が本当に椎名くんだって確認してから声をかけることを?
「……って、お前。それ持って走ってきたのかよ」