キミ専属
本番までのカウントダウンが始まった。
「本番まで10秒前、8、7、6、5秒前、4、3…」
そう言ったあと、手だけで2、1、キュー(0)とカウントしたADさん。
それを合図に収録が始まった。
まず最初に若手司会者タレントがフリートークを展開する。
とても面白いフリートークだったので、スタジオの片隅で収録を見守っていた私も小さくクスッと笑ってしまった。
フリートークが終わると、司会者は「今日のゲストの登場です」と言った。
それを聞いて、私の胸はドキドキと高鳴り出す。
『由真さん、翔太さん、頑張ってね…!!』
私は心の中でそう呟く。
すると、由真さんと翔太さんが他の新人タレントのみなさんと一緒にカメラの前に登場した。
「1人ずつ自己紹介してもらえるかな?」
司会者がそう言うと、新人タレントのみなさんは緊張した面持ちで1人ずつ自己紹介をしてマイクを回していく。
3番目にマイクが回ってきた由真さんは、緊張でカチコチな様子。
震える手でマイクを持ち、こう言った。
「森田 由真、16歳です。現役高校生ですが、学業と仕事の両立を頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします」
我が子のように由真さんを見守っていた私は、由真さんが自己紹介を最後まで言い切れたことにほっとひと安心。
その後、何人か間に挟んで最後にマイクが回ってきた翔太さんは、由真さんとは対照的で自然体な様子だった。
…それもそうだ。
翔太さんは職業柄、何年もの間カメラの前に立ち続けているんだから。
私は『翔太さんは一体何を言うんだろう』と思い、聞き耳を立てた。
すると、翔太さんはこう言った。
「小林 翔太、23歳です。本業は読者モデルなのですが、この度タレントデビューすることになりました。よろしくお願いします」
「!!!!!」
それを聞いた私はびっくりして口をあんぐりさせた。
翔太さんがタレントデビュー!?!?
すごい…!すごい!!すごい!!!
自分のことのように心の中で大喜びする私。
もう今すぐ飛び跳ねたい気分だ。
でも、今は我慢しなきゃ。
その代わり、あとでたくさん大騒ぎしてやろう。
たくさんたくさん、お祝いしてやろう。
私はそう心に決めて、溢れ出る感情を押さえつけた。
自己紹介が終わって、新人タレントのみなさんが席に座ると、Q&Aコーナーが始まった。どうやらゲストが視聴者からの質問に赤裸々に答えるコーナーらしい。
「まずは○○くんへの質問です!○○くんの初キスはいつですか?」
司会者が視聴者からの葉書を読み上げると、由真さんの隣に座っていた新人タレントが戸惑った様子で「えっ…」と言った。
きっと言いたくないのだろう。
そんな新人タレントに「早く教えてよ〜」と煽る司会者。
すると、その新人タレントは質問に嫌々答えた。
「小5です…」
それを見ていた私は『なんつー番組だ』と思ったと同時に、由真さんと翔太さんも同じ目に遭うんじゃないかと不安になった。
そして、その不安は的中した。
「次は由真さんへの質問です!由真さんは今まで何人と付き合いましたか?」
司会者がそう言うと、由真さんはさっきの新人タレントと同じように、戸惑った様子を見せた。
私はハァ…とため息をつく。
「ねえ、何人?」
しつこく聞く司会者に由真さんは俯きながら小さな声でこう言った。
「ゼロです…」
それを聞いた司会者は「そうなんだ〜」とだけ言うと、また新しい葉書を読み上げる。
「最後に翔太くんへの質問です!翔太くんは今彼女はいますか?」
それを聞いた私はビクッとした。
翔太さんはなんて答えるんだろう…。
ビクビクしながら翔太さんの回答を待っていると、翔太さんはいつもの笑顔と声でこう言った。
「いますよ」
その瞬間、スタジオ内は一気にざわついた。
そんな中、私は1人だけ顔を真っ赤にして口をつぐむ。
司会者も驚いた様子で、続けざまに翔太さんにこう問いかけた。
「彼女いるんだ!?どんな子!?」
翔太さんは少し「んー…」と悩んだあと、満面の笑みでこう答えた。
「可愛くて、優しくて、真面目な子です」
それを聞いて、私はますます頬を赤らめる。
…結局、その後の番組の内容はほとんど翔太さんの恋バナになってしまった。
「本番まで10秒前、8、7、6、5秒前、4、3…」
そう言ったあと、手だけで2、1、キュー(0)とカウントしたADさん。
それを合図に収録が始まった。
まず最初に若手司会者タレントがフリートークを展開する。
とても面白いフリートークだったので、スタジオの片隅で収録を見守っていた私も小さくクスッと笑ってしまった。
フリートークが終わると、司会者は「今日のゲストの登場です」と言った。
それを聞いて、私の胸はドキドキと高鳴り出す。
『由真さん、翔太さん、頑張ってね…!!』
私は心の中でそう呟く。
すると、由真さんと翔太さんが他の新人タレントのみなさんと一緒にカメラの前に登場した。
「1人ずつ自己紹介してもらえるかな?」
司会者がそう言うと、新人タレントのみなさんは緊張した面持ちで1人ずつ自己紹介をしてマイクを回していく。
3番目にマイクが回ってきた由真さんは、緊張でカチコチな様子。
震える手でマイクを持ち、こう言った。
「森田 由真、16歳です。現役高校生ですが、学業と仕事の両立を頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします」
我が子のように由真さんを見守っていた私は、由真さんが自己紹介を最後まで言い切れたことにほっとひと安心。
その後、何人か間に挟んで最後にマイクが回ってきた翔太さんは、由真さんとは対照的で自然体な様子だった。
…それもそうだ。
翔太さんは職業柄、何年もの間カメラの前に立ち続けているんだから。
私は『翔太さんは一体何を言うんだろう』と思い、聞き耳を立てた。
すると、翔太さんはこう言った。
「小林 翔太、23歳です。本業は読者モデルなのですが、この度タレントデビューすることになりました。よろしくお願いします」
「!!!!!」
それを聞いた私はびっくりして口をあんぐりさせた。
翔太さんがタレントデビュー!?!?
すごい…!すごい!!すごい!!!
自分のことのように心の中で大喜びする私。
もう今すぐ飛び跳ねたい気分だ。
でも、今は我慢しなきゃ。
その代わり、あとでたくさん大騒ぎしてやろう。
たくさんたくさん、お祝いしてやろう。
私はそう心に決めて、溢れ出る感情を押さえつけた。
自己紹介が終わって、新人タレントのみなさんが席に座ると、Q&Aコーナーが始まった。どうやらゲストが視聴者からの質問に赤裸々に答えるコーナーらしい。
「まずは○○くんへの質問です!○○くんの初キスはいつですか?」
司会者が視聴者からの葉書を読み上げると、由真さんの隣に座っていた新人タレントが戸惑った様子で「えっ…」と言った。
きっと言いたくないのだろう。
そんな新人タレントに「早く教えてよ〜」と煽る司会者。
すると、その新人タレントは質問に嫌々答えた。
「小5です…」
それを見ていた私は『なんつー番組だ』と思ったと同時に、由真さんと翔太さんも同じ目に遭うんじゃないかと不安になった。
そして、その不安は的中した。
「次は由真さんへの質問です!由真さんは今まで何人と付き合いましたか?」
司会者がそう言うと、由真さんはさっきの新人タレントと同じように、戸惑った様子を見せた。
私はハァ…とため息をつく。
「ねえ、何人?」
しつこく聞く司会者に由真さんは俯きながら小さな声でこう言った。
「ゼロです…」
それを聞いた司会者は「そうなんだ〜」とだけ言うと、また新しい葉書を読み上げる。
「最後に翔太くんへの質問です!翔太くんは今彼女はいますか?」
それを聞いた私はビクッとした。
翔太さんはなんて答えるんだろう…。
ビクビクしながら翔太さんの回答を待っていると、翔太さんはいつもの笑顔と声でこう言った。
「いますよ」
その瞬間、スタジオ内は一気にざわついた。
そんな中、私は1人だけ顔を真っ赤にして口をつぐむ。
司会者も驚いた様子で、続けざまに翔太さんにこう問いかけた。
「彼女いるんだ!?どんな子!?」
翔太さんは少し「んー…」と悩んだあと、満面の笑みでこう答えた。
「可愛くて、優しくて、真面目な子です」
それを聞いて、私はますます頬を赤らめる。
…結局、その後の番組の内容はほとんど翔太さんの恋バナになってしまった。