キミ専属
 「これからどうする?えっちする?」
唐突に翔太さんが言った。
私は迷わず首を横に振る。
「しないですっ!!」
すると、翔太さんは残念そうな顔をしてこう言った。
「ちえ〜」
…なんか、翔太さんってほんと子供みたい。
まあ、そこが好きなんだけどね。
そんなことを考えていると、翔太さんはさっきより真剣な顔でこう言った。
「…なんてね。冗談だよ」
「え?」
「梅ちゃんのこと、大事にしたいから。まだそういうことはしない」
そう言った翔太さんの顔は真剣そのもので。
顔を真っ赤にした私はたった一言こう言った。
「あ、ありがとう、ございます…」
それから少しだけ私達の間に沈黙が流れた。
しかし、すぐにその沈黙は翔太さんの声によって破られた。
「梅ちゃん」
「はい?」
「えっちは我慢するけど、キスはしていいよね?」
「…!」
「いいよね??」
そう言って顔を近づけてくる翔太さんはやっぱり子供みたい。
私はクスッと笑ってこう言った。
「いいですよ」
それから私達はまた長━━━いキスをした。

 長いキスが終わった後、最初に口を開いたのは私だった。
「翔太さん、タレントデビューおめでとうございます」
笑顔でそう言うと、翔太さんも嬉しそうに笑った。
「ありがとう。タレントとしての俺も応援してくれる?」
それを聞いた私は即答。
「もちろんです!モデルとしての翔太さんも、タレントとしての翔太さんも、どっちも応援します!」
すると、翔太さんは満面の笑みを浮かべてこう言った。
「これから梅ちゃんは俺のファン 兼 恋人だね」
「たしかにそうですね…!」
「…うれしいな」
本当に嬉しそうな顔でそう言う翔太さん。
そんな翔太さんを愛おしく思った私は、思わず自分からキスをした。
「!?」
びっくりする翔太さんに私は笑ってこう言った。
「私も嬉しいです」

『この幸せがずっと続けばいいな』
私はそんなことを考えながら、幸せを噛み締めていた━━━━━。
< 22 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop