片想い
「ええっ、本も入っててその大きさなの?

すごいね。」

「そうかな。」
彼が微笑む

「私なんてこのスーツケースがぱんぱんになるくらい詰め込んで来たんだよ〜

でも、合宿に本を持ってくるなんて、素敵ね

私も本、好きなの」



流石にこの中には本まで入り切らなかったけどね、と付け加える



「ああ……それじゃあ、この本貸すよ」

彼がバッグから文庫本を出して
私に手渡してくれた


「いいの!?嬉しい!
前からこの本気になってたんだ

ありがとう!」

前から読もうと思っていた本を
読むことが出来る

ってことも嬉しかったけど

何より、彼から本を借りることが出来るなんて
っていう感動のほうが勝っていた


「どういたしまして」
彼は落ち着いていて
でも嬉しそうに笑いかけてくれた



…………ああ

私はなんて幸せなんだろう……

< 6 / 11 >

この作品をシェア

pagetop