太陽が沈むまで

私はベッドに転がり寝てしまおう
そう思った

兄貴はずっと黙って
何も言わずただ携帯をいじっていた

私はいろんな事を考えながら眠った


目を覚ましたのは夜中だった

私がキッチンに行くとお父さんがまだ起きていた
真剣な顔で何か考え事をしている様だった

「パパ…お母さんは?」

お父さんは私の方を見て悲しそうな顔で言った

「もう…帰って来ない」

そんな事聞かなくても分かってた

一番聞きたいのは…
なんで離婚なのか…

お父さんは言わなかったし
私も聞けなかった

でも多分分かる
小さい頃お母さんがたまに泣いて居るのを見た事がある

その原因は詳しく分からないけど、お父さんに泣かされたんだって思ってた

お父さんがいけないんだって思ってたけど

本当はお母さんなんだ

お母さんがお父さんを困らせてた
お父さんはずっと我慢してたんだ
それが我慢出来なくなっちゃったんだよね


暫く沈黙する
私はお父さんを見れなかった

「柚子…どっちと暮らす?」

お父さんは、ためらいながらゆっくりとした口調で言った

「…分かんない」

「決めときな…ね」

そう言うとお父さんは和室へ行ってしまった

< 11 / 30 >

この作品をシェア

pagetop