LOVE物語
ーside遥香ー
私は、ずっと点滴をつけられたまま病室で過ごしていると、見知らぬ男性が入ってきた。
誰?
久しぶりに感じる怖さに手が震えていた。
白衣も着てないし…
部屋間違えてるんじゃないの?
「君、白石遥香ちゃん?」
「え…?」
「あ、ごめん。俺は岩佐弘樹。」
「はぁ…。」
「遥香ちゃん、点滴変えに…」
笑顔で入ってきた近藤さんの表情が、その男性の存在に気付き表情が強ばっていた。
「この子に何の用ですか。」
近藤さんは自分の背中で私を隠した。
何が起こってるのか分からない。
てか、この人は誰?
私の知り合い?
「出てってください。」
「別にいいでしょ?この子、俺の…」
「出てって!」
こんな近藤さん、見たことない。
後ろ姿から分かる。
微妙に背中が震えている。
「ちっ。」
舌打ちしながら出ていった男性。
一体、あの人は誰?
「遥香ちゃん?何もされてない?」
「されてません。」
でも、あの人私のこと知ってたみたいだけど知り合いなのかな
全く思い出せない。
「よかった。」
ホッとしている近藤さん。
「守ってくれてありがとうね。」
「遥香ちゃん。遥香ちゃんは大切な患者さんだから守るよ。」
「宜しくお願いします。」
近藤さんは笑って頭を撫でてくれた。
それから、終わった点滴を片付けて部屋から出た。
部屋から出る前に、さっきの男が来たらすぐにナースコールを押してって言われたけど、そんなに危ない人なんかな。
病院も物騒になったんだね…。
警備員さんがいるのに。
中庭にでも行こうかな…。
部屋は個室だから余計に怖い。
それなら、他の患者さんがいる中庭に行こう。
中庭なら出てもいいかな。
一応、近藤さんのところに寄っていこう。
私は、そのまま近藤さんのいるナースステーションに向かった。
「近藤さん。」
「あ、遥香ちゃん。どうした?」
「中庭行ってもいい?」
「外は寒いから、ちょっと許可できないや。」
「そっか…」
そうだよね。
冷たい空気が、喉に入ってきたら咳が出て発作になるよね…。
私は、諦めて帰ろうとすると後ろから声がした。
「遥香ちゃん、待って。」
振り向くと見覚えのない医者。
「誰?」
私は、そう口にしていた。
「呼吸器内科の河上朝陽です。尊から遥香ちゃんの話を聞いてるよ。昔からの親友なんだ。だから、中庭に行きたいなら俺と行こう。尊、まだ外来だから。」
「あ、それなら河上先生。遥香ちゃんを宜しくお願いします。」
「分かった。近藤さん。部屋にいるより中庭の方が俺は今は安全だと思う。だから任せて。」
「はい。」
何をこそこそと話してるんだろう。
気にはなったけど、気分転換に外でれるならいっか。
「これ、着て行って。」
「先生は寒くないの?」
「あぁ。中にいっぱい着てるから大丈夫。気にしないで。あと、マスクも。」
「ありがとう。」
「さっ、行こうか。」
私は、河上先生と中庭に向かった。
「遥香ちゃん、空気吸いたいのは分かるけど思いっきり吸ったら咳でちゃうから気をつけて。」
「はい。」
私は、ベンチに座り空を眺めていた。
「遥香ちゃんはさ、空見ることが好きなの?」
「え?」
「答えなくても大丈夫だけど。」
「私、昔空に飛び立ちたいって思ってたんです。いつか、私も飛べるのかなって。そんなことを考えてたんです。」
「遥香ちゃんが?」
「はい。でも、空は鳥しか飛べないって聞いてその時はとことん落ち込みました。」
「空は飛べるよ。」
「え?」
「さすがに、人間だけの力だと無理だけど。羽なんか生えてくるわけないしね。でもね、飛行機に乗れば空に近づくことはできる。」
「でも、私は気圧の変化で発作を起こすって言われたから、飛行機乗れないんです。」
「昔はでしょ?今は乗れるかもしれないよ。」
「無理だよ。無理。怖くて乗れない。」
「尊が、そばにいれば違うんじゃない?」
たしかに、違うのかもしれない。
だけど、それは言えないでしょ。
特に、旅行に行きたいとは思えない。
「尊も仕事が忙しいから。」
「修学旅行とかあるんじゃない?遥香ちゃんまだ高校1年生でしょ。」
そういえば、考えてもなかった。
修学旅行ってどこなんだろう。
「あるけど、考えてなかったから場所分かりません。」
「はは。そっか。」
修学旅行のことは考えてなかったけど、最初から私は参加しないつもりだった。
私は、2日に1回のペースで診察しないといけないし。
「先生、帰りましょう?」
「そうだね。立てる?」
「うん…」
って言ったけどちょっと無理かも…
「危ない!」
ふらついた私を河上先生は受け止めてくれた。
「尊に連絡しようか?」
「大丈夫です。いつものことですから。」
「そっか…。仮眠室行くか?」
「仮眠室?」
「うん。喘鳴も出てきたし…。苦しいだろ?」
私は正直に頷いた。
「無理に歩かなくていいから、ちょっと大人しくしててな。」
先生はそう言うと私を抱き上げ仮眠室に運んでくれた。
「近藤さん、遥香ちゃん仮眠室に移動させるから点滴台とステロイド剤と吸入器持ってきて。」
「はい。」
私は、ベッドに寝かされ再び点滴に繋がれた。
それから、吸入器で吸入してから気付くと眠りついていた。
私は、ずっと点滴をつけられたまま病室で過ごしていると、見知らぬ男性が入ってきた。
誰?
久しぶりに感じる怖さに手が震えていた。
白衣も着てないし…
部屋間違えてるんじゃないの?
「君、白石遥香ちゃん?」
「え…?」
「あ、ごめん。俺は岩佐弘樹。」
「はぁ…。」
「遥香ちゃん、点滴変えに…」
笑顔で入ってきた近藤さんの表情が、その男性の存在に気付き表情が強ばっていた。
「この子に何の用ですか。」
近藤さんは自分の背中で私を隠した。
何が起こってるのか分からない。
てか、この人は誰?
私の知り合い?
「出てってください。」
「別にいいでしょ?この子、俺の…」
「出てって!」
こんな近藤さん、見たことない。
後ろ姿から分かる。
微妙に背中が震えている。
「ちっ。」
舌打ちしながら出ていった男性。
一体、あの人は誰?
「遥香ちゃん?何もされてない?」
「されてません。」
でも、あの人私のこと知ってたみたいだけど知り合いなのかな
全く思い出せない。
「よかった。」
ホッとしている近藤さん。
「守ってくれてありがとうね。」
「遥香ちゃん。遥香ちゃんは大切な患者さんだから守るよ。」
「宜しくお願いします。」
近藤さんは笑って頭を撫でてくれた。
それから、終わった点滴を片付けて部屋から出た。
部屋から出る前に、さっきの男が来たらすぐにナースコールを押してって言われたけど、そんなに危ない人なんかな。
病院も物騒になったんだね…。
警備員さんがいるのに。
中庭にでも行こうかな…。
部屋は個室だから余計に怖い。
それなら、他の患者さんがいる中庭に行こう。
中庭なら出てもいいかな。
一応、近藤さんのところに寄っていこう。
私は、そのまま近藤さんのいるナースステーションに向かった。
「近藤さん。」
「あ、遥香ちゃん。どうした?」
「中庭行ってもいい?」
「外は寒いから、ちょっと許可できないや。」
「そっか…」
そうだよね。
冷たい空気が、喉に入ってきたら咳が出て発作になるよね…。
私は、諦めて帰ろうとすると後ろから声がした。
「遥香ちゃん、待って。」
振り向くと見覚えのない医者。
「誰?」
私は、そう口にしていた。
「呼吸器内科の河上朝陽です。尊から遥香ちゃんの話を聞いてるよ。昔からの親友なんだ。だから、中庭に行きたいなら俺と行こう。尊、まだ外来だから。」
「あ、それなら河上先生。遥香ちゃんを宜しくお願いします。」
「分かった。近藤さん。部屋にいるより中庭の方が俺は今は安全だと思う。だから任せて。」
「はい。」
何をこそこそと話してるんだろう。
気にはなったけど、気分転換に外でれるならいっか。
「これ、着て行って。」
「先生は寒くないの?」
「あぁ。中にいっぱい着てるから大丈夫。気にしないで。あと、マスクも。」
「ありがとう。」
「さっ、行こうか。」
私は、河上先生と中庭に向かった。
「遥香ちゃん、空気吸いたいのは分かるけど思いっきり吸ったら咳でちゃうから気をつけて。」
「はい。」
私は、ベンチに座り空を眺めていた。
「遥香ちゃんはさ、空見ることが好きなの?」
「え?」
「答えなくても大丈夫だけど。」
「私、昔空に飛び立ちたいって思ってたんです。いつか、私も飛べるのかなって。そんなことを考えてたんです。」
「遥香ちゃんが?」
「はい。でも、空は鳥しか飛べないって聞いてその時はとことん落ち込みました。」
「空は飛べるよ。」
「え?」
「さすがに、人間だけの力だと無理だけど。羽なんか生えてくるわけないしね。でもね、飛行機に乗れば空に近づくことはできる。」
「でも、私は気圧の変化で発作を起こすって言われたから、飛行機乗れないんです。」
「昔はでしょ?今は乗れるかもしれないよ。」
「無理だよ。無理。怖くて乗れない。」
「尊が、そばにいれば違うんじゃない?」
たしかに、違うのかもしれない。
だけど、それは言えないでしょ。
特に、旅行に行きたいとは思えない。
「尊も仕事が忙しいから。」
「修学旅行とかあるんじゃない?遥香ちゃんまだ高校1年生でしょ。」
そういえば、考えてもなかった。
修学旅行ってどこなんだろう。
「あるけど、考えてなかったから場所分かりません。」
「はは。そっか。」
修学旅行のことは考えてなかったけど、最初から私は参加しないつもりだった。
私は、2日に1回のペースで診察しないといけないし。
「先生、帰りましょう?」
「そうだね。立てる?」
「うん…」
って言ったけどちょっと無理かも…
「危ない!」
ふらついた私を河上先生は受け止めてくれた。
「尊に連絡しようか?」
「大丈夫です。いつものことですから。」
「そっか…。仮眠室行くか?」
「仮眠室?」
「うん。喘鳴も出てきたし…。苦しいだろ?」
私は正直に頷いた。
「無理に歩かなくていいから、ちょっと大人しくしててな。」
先生はそう言うと私を抱き上げ仮眠室に運んでくれた。
「近藤さん、遥香ちゃん仮眠室に移動させるから点滴台とステロイド剤と吸入器持ってきて。」
「はい。」
私は、ベッドに寝かされ再び点滴に繋がれた。
それから、吸入器で吸入してから気付くと眠りついていた。