LOVE物語
ーside遥香ー

目を開けようとすると、目の上に保冷剤の巻かれたタオルが置いてあった。

体を半分だけ起こす。

重い瞼に重い頭。

悪夢じゃなかったんだ。

現実で起こったこと。

そういえば、昨日は仮眠室にいたはず。

見慣れた天井を見て安心した。

隣で眠る尊。

そういえば、昨日尊は何も言わず頷きながら話を聞いてくれてたんだよね。

私は、綺麗事を並べて気持ちわかるよとか言われることがあまり好きじゃない。

施設で、先生に言われたから。

先生達は母親からの愛情をたくさん注がれて育ってきた。

そんなあなたがどうして分かるなんて簡単に口にするんだろうって思ってた。

尊は泣いている私をただただ抱きしめてくれた。

大丈夫だよ。
安心して。

って、言われてるみたいで居心地がよかった。

たまには朝ご飯作ろうかな。

気分転換にでも。

私は、キッチンへと向かい朝ご飯を作る。

今日は学校に行こう。
昨日は色々あったけど、学校は行かないとね。

朝ご飯の支度を終え、私はシャワーを浴びてから身支度を整えた。

朝ご飯は作ったものの、あまり食欲がない。

頭痛いし…。

「遥香。おはよう。」

尊は目をこすりながらベッドから起きてくる。

「おはよう。」

「遥香、頭痛大丈夫か?」

「え?」

何で私が頭痛いことに気づいたんだろう。

「なんで分かったの?って顔してるな。遥香は泣いた後は必ず頭が痛くなるって前に聞いたからさ。」

「山城先生?」

「そうそう。」

「そっか。先生は分かるよね。」

「隠し事してもすぐお見通しだよ遥香。」

「…ほら!朝ご飯冷めないうちに早く食べよう。」

「あ、朝ご飯ありがとうな。美味しそう。」

それから、尊は私の作った朝ご飯を美味しそうに食べてくれた。

「遥香?少しはお腹に入れないともたないよ?」

「わかってるんだけど…。食べれない…。」

「ヨーグルトは?食べれそう?」

「…うん。」

「無理しなくていいから、食べれるだけ食べてみな。」

尊がそばにいてくれるなら食べれるかな。

「えらいぞ。」

それから、ヨーグルトを食べ終えた私はいつも通り診察をする。

「喘鳴は昨日よりなくなったから大丈夫そうだな。喘息の方は大丈夫だけど、心の方は大丈夫じゃないよな…。」

「大丈夫だよ。」

「心配だな。今日は大事をとって休みな?俺も今日は休みの日だから。」

「でも、授業が…。」

「そんな状態で、ちゃんと授業受けられる?」

それは…無理かもしれない。
私は首を横に振っていた。

「今日は、ゆっくりして少し心休めな?俺もそばにいるから。」

「分かった。」

私は、担任の先生に連絡をして休みをとることにした。
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