LOVE物語
ーside遥香ー
私は、いつも通り尊の迎えを待っていると真剣な表情をして、保健室に入ってきた。
きっと、母親のことで何か聞いてきたんだろうな…。
だから、私は少し覚悟ができた。
「実は、今日遥香の母親と話をしてきた。」
「それで、何か言ってたの?」
私は自分でも驚くほど動揺していなくて尊の話をそれなりに受け止めていた。
母親は、もしかしたら私と向き合う気があるかもしれないということ。
だけど、私はそんなことを言われてもちゃんと向き合える自信なんてない。
出来るものなら避けて通りたい。
だけど、ずっとこのままなんて嫌。
尊が私のために話し合ってくれたんだから、私も覚悟を決めないといけない。
だけど…
それから、私は母親とはきちんと向かい合えず母親のお産の時が来た。
その知らせを受けたのは尊からだった。
尊も私も病院に駆けつけた。
お産を手伝う助産師に許可を取り、私と尊は中に入ることを許された。
あの日以来見かける母親。
汗をかいて必死だった。
私を産む時もこんな感じだったんだろうか。
初めて目の当たりにする命の誕生の瞬間。
それが、私を捨てた母親のお産。
弱音を吐くばかりの母親。
なのに、
「てか、なんであんたがいるわけ?」
そう私に言い放った。
よくもそんなことが言えるもんだよね。
「あんたがお産だって聞いたから時間を削って来たのよ。」
私も負けじとそう言い放った。
「私のこと恨んでんでしょ?だったら外に出てればいいじゃん。てかもう!痛いんだけど!!やだ!」
屁理屈を言いながら弱音を吐く母親は、いつも突っ張っている母親とは違い初めて見る姿だった。
だから、私もそんな母親を
「あんた、そのお腹の中の子供の母親になるでしょ?だったら頑張りなさいよ!その子も頑張ってるのよ?あんたが諦めてどうするのよ!」
「うるっさいわね!」
口数が段々と減ってきた母親。
後ろで尊が私の肩を支えてる。
私が倒れないように。
折れないように。
母親に言いたいことを言えるように。
「遥香、あんた今までどうやって生きてきたのよ?」
はっ?
「べつに、あんたに関係ない。」
あなたに今更、自分のことを教えることなんてない。
「あんたさ、少しは人間らしい生活しなさいよ?」
「なんであんたにそんなこと言われなきゃのよ。」
「あんたさ相変らず小さいわ細いわ成長してるわけ?それだと、治るもんも治んないわよ!」
「え?」
「喘息のことよ。早く治しなさい。尊さんと一緒に生きていくんだろ?だったら、あんたももう少し尊さんを支えられる存在にならないのダメよ。」
「何今更。母親みたいなこと言ってるのよ!」
「母親みたいなって。私が母親じゃない。まぁ、もうあんたは私の娘じゃないけど。」
「そうね。私も母親だとは思ってないから。」
「じゃあ、さっきの言葉は1人の女として言っとくわ。」
その言葉を最後に、母親の話す体力は失われていった。
それから1時間後元気な双子の赤ちゃんが産まれた。
私は、その場に座り込んでいた。
「遥香!大丈夫か?」
「すっきりした。」
「え?」
「初めてなの。母親に歯向かったの。言い合いしたのも初めてなの。」
「そうだったのか。」
「言いたいこと言えてすっきりした。」
「でも、いいのか?母親がちゃんとしてる時じゃなくて。」
「いいんだ。」
だって、母親が元気な時に言い合いしたら私は何も言えなくなると思うから。
自分の言いたいこと、言えなくなるから。
「やっと笑ってくれたな。」
「え?」
「遥香、母親に再会してから1度も笑うことなかっただろ。だから、よかった。遥香に笑顔が戻って。」
そっか。
私、気持ちが晴れやかになったんだ。
ずっと、もやもやして母親のことずっと頭から離れなかったけど、そんなもやもやがどこかへと消えていった。
私は、乗り越えられた気がする。
尊と一緒に。
ありがとう尊。
私は尊から教えてもらった温もりを大切に生きていくよ。
尊のそばで笑えるように。
私もあなたの笑顔を守るから。
ーENDー
私は、いつも通り尊の迎えを待っていると真剣な表情をして、保健室に入ってきた。
きっと、母親のことで何か聞いてきたんだろうな…。
だから、私は少し覚悟ができた。
「実は、今日遥香の母親と話をしてきた。」
「それで、何か言ってたの?」
私は自分でも驚くほど動揺していなくて尊の話をそれなりに受け止めていた。
母親は、もしかしたら私と向き合う気があるかもしれないということ。
だけど、私はそんなことを言われてもちゃんと向き合える自信なんてない。
出来るものなら避けて通りたい。
だけど、ずっとこのままなんて嫌。
尊が私のために話し合ってくれたんだから、私も覚悟を決めないといけない。
だけど…
それから、私は母親とはきちんと向かい合えず母親のお産の時が来た。
その知らせを受けたのは尊からだった。
尊も私も病院に駆けつけた。
お産を手伝う助産師に許可を取り、私と尊は中に入ることを許された。
あの日以来見かける母親。
汗をかいて必死だった。
私を産む時もこんな感じだったんだろうか。
初めて目の当たりにする命の誕生の瞬間。
それが、私を捨てた母親のお産。
弱音を吐くばかりの母親。
なのに、
「てか、なんであんたがいるわけ?」
そう私に言い放った。
よくもそんなことが言えるもんだよね。
「あんたがお産だって聞いたから時間を削って来たのよ。」
私も負けじとそう言い放った。
「私のこと恨んでんでしょ?だったら外に出てればいいじゃん。てかもう!痛いんだけど!!やだ!」
屁理屈を言いながら弱音を吐く母親は、いつも突っ張っている母親とは違い初めて見る姿だった。
だから、私もそんな母親を
「あんた、そのお腹の中の子供の母親になるでしょ?だったら頑張りなさいよ!その子も頑張ってるのよ?あんたが諦めてどうするのよ!」
「うるっさいわね!」
口数が段々と減ってきた母親。
後ろで尊が私の肩を支えてる。
私が倒れないように。
折れないように。
母親に言いたいことを言えるように。
「遥香、あんた今までどうやって生きてきたのよ?」
はっ?
「べつに、あんたに関係ない。」
あなたに今更、自分のことを教えることなんてない。
「あんたさ、少しは人間らしい生活しなさいよ?」
「なんであんたにそんなこと言われなきゃのよ。」
「あんたさ相変らず小さいわ細いわ成長してるわけ?それだと、治るもんも治んないわよ!」
「え?」
「喘息のことよ。早く治しなさい。尊さんと一緒に生きていくんだろ?だったら、あんたももう少し尊さんを支えられる存在にならないのダメよ。」
「何今更。母親みたいなこと言ってるのよ!」
「母親みたいなって。私が母親じゃない。まぁ、もうあんたは私の娘じゃないけど。」
「そうね。私も母親だとは思ってないから。」
「じゃあ、さっきの言葉は1人の女として言っとくわ。」
その言葉を最後に、母親の話す体力は失われていった。
それから1時間後元気な双子の赤ちゃんが産まれた。
私は、その場に座り込んでいた。
「遥香!大丈夫か?」
「すっきりした。」
「え?」
「初めてなの。母親に歯向かったの。言い合いしたのも初めてなの。」
「そうだったのか。」
「言いたいこと言えてすっきりした。」
「でも、いいのか?母親がちゃんとしてる時じゃなくて。」
「いいんだ。」
だって、母親が元気な時に言い合いしたら私は何も言えなくなると思うから。
自分の言いたいこと、言えなくなるから。
「やっと笑ってくれたな。」
「え?」
「遥香、母親に再会してから1度も笑うことなかっただろ。だから、よかった。遥香に笑顔が戻って。」
そっか。
私、気持ちが晴れやかになったんだ。
ずっと、もやもやして母親のことずっと頭から離れなかったけど、そんなもやもやがどこかへと消えていった。
私は、乗り越えられた気がする。
尊と一緒に。
ありがとう尊。
私は尊から教えてもらった温もりを大切に生きていくよ。
尊のそばで笑えるように。
私もあなたの笑顔を守るから。
ーENDー