LOVE物語
3.少女との出会い side尊
俺は、新しく担当をする患者さんに会うためにここの高校に来て校長先生を通し担任から呼んでもらうように頼んだ。
正直、ここの名前をみて驚いた。
偏差値が高く、毎年名門大学に何人もの現役合格者を出している高校でその人気からも、倍率がかなり高い。
意外だな…。
俺は、校長室から保健室に移りそこで待機をした。
コンコン
「はい。」
俺はドアに目をやり返事をした。
『失礼します。』
そう言って入ってきた少女。
かなり警戒されている。
無理もない。初めて見る大人に警戒心を抱かな
い奴なんていないだろう。
ん!?
少女とふと目があった。
高鳴る心臓の鼓動に胸が締め付けられた。
高校生とは思えないほど大人っぽくて、吸い込まれそうなくらい綺麗で潤んだ瞳。
顔全体が整っていて美人すぎるほど。
でも、容姿だけじゃない。
大きな瞳からは深い悲しみや苦しみが痛いほど伝わってきて、何よりまっすぐ見つめるその瞳から俺は守りたいという感情がわいた。
彼女のもつ独特の雰囲気が、俺の胸をかき乱した。
きっと、色んなことがあったんだろうか。
「今日は、診察しに来たんだけど胸の音だけ聞いてもいいかな?」
俺がそう言うと、遥香ちゃんは頷いた。
俺は、少しためらったが制服の下から聴診器を当てた。
ドクン!
落ち着けよ…冷静になれ。
どうしちゃったんだよ。
こんなのらしくない。
今は診察中だ、診察に集中しなきゃ…。
「喘鳴もあるし、体も熱いから吸入と点滴をした方がいいと思いますけどどうしますか?」
『いや、大丈夫です。』
大丈夫なわけないだろう。
熱も結構あるだろうしな…。
「だけど、苦しくないですか?」
『…平気です。』
「でも、」
『授業、始まっちゃうんで教室戻ります。』
そうは言ったもののやっぱり放っておけない。
俺は急いで遥香の手首をつかみその動きを止めた。
「離して!」
想像以上に、驚き怯える遥香。
やべえ…これじゃ悪化するだけだ。
俺はすかさず手を離し言葉を付け足した。
「今のままだといつ発作で倒れるか分からないよ?」
『別に。関係ない。』
そう言うと、遥香は保健室から出て行ってしまった。
この後のことは、医者でなくても分かる。
明らかに悪化はしているだろう。
俺は、結局その後遥香に会うことはできず病院に戻った。
それからというものの、俺は何1つ仕事が手につかなかった。
遥香のことを思わずにはいられず、ずっと頭から離れなかった。
なんだよ…。
どうしたんだよ本当。
しっかりしろよ。
でも、苦しそうだったな…。
はぁ…。
あの後、発作を起こしてなければいいけど。
想像以上に警戒心は強いし、下手に動くと余計に心を閉ざしてしまう。
どうすればいいんだ…。
ずっとここには来てないし、これからも来ないんだろうな…。
「せんせ?」
明日もまた、高校に行ってみるか。
彼女に会う方法はそれしかないし遠くからでも見守るか。
「佐々木先生!」
「え?」
「ぼーっとしてどうしたんですか?」
「いや。何でもない。」
看護師にまで心配されて、本当情ねえ。
まだ仕事中だしな。
残っている仕事を早く片付けて頭を冷やそう。
俺は、ほかの患者さんのカルテのデーターを整理していった。
最後のカルテは…
あ…。
『白石遥香』
俺は、パソコンから手を離ししばらく固まっていと後ろから近藤さんに声をかけられた。
「遥香ちゃんのことで考えてるんですか?」
「ああ。」
「やっぱり、具合よくなかったんですね?」
「まあ…。近藤さんって、小児科にいた時から 白石さんの担当をしているんですよね?」
「はい。」
「どういう感じでした?」
「珍しいですね。佐々木先生がそこまで患者さんの気にされてるなんて。」
何かを見透かされた感じがして急いで言い訳を始めた。
「いや!家庭環境も悪かったし、喘息で1人暮しっていうのも酷なんじゃないのかなって。発作出たら危ないし…。」
冷や汗が半端ねえ。
「まあ、実際難しいですよ。遥香ちゃんは。あの子が1番心を許していた山城先生から主治医の先生が変わったことで余計に警戒しているんだと思います。普段、クールで大人だから体調悪くても我慢しちゃってることも多かったんです。山城先生は、担当が変わる直前まで遥香ちゃんのそばで心のケアをしてきました。でも、やっぱり浅はかでした。心に負った深い傷は思っていた以上に良くはなっていなかったんです。先生?先生の目から見て、危ないって感じているなら遥香ちゃんはもう限界だと思いまよ。山城先生に電話をして、明日遥香ちゃんを連れてくることを手伝ってもらいましょう。早く治療しないと取り返しのつかないことになるかと。」
「そうだな。」
治療もそうだけど、体調と心の方もかなり心配だ。そっちの問題も後で取り返しのつかないことになる。
俺は、遥香のカルテに『要観察』と記してからカルテを片付けた。
よし…!
俺が遥香ちゃんのことを支えていこう。
この日、俺は固く決心した。
正直、ここの名前をみて驚いた。
偏差値が高く、毎年名門大学に何人もの現役合格者を出している高校でその人気からも、倍率がかなり高い。
意外だな…。
俺は、校長室から保健室に移りそこで待機をした。
コンコン
「はい。」
俺はドアに目をやり返事をした。
『失礼します。』
そう言って入ってきた少女。
かなり警戒されている。
無理もない。初めて見る大人に警戒心を抱かな
い奴なんていないだろう。
ん!?
少女とふと目があった。
高鳴る心臓の鼓動に胸が締め付けられた。
高校生とは思えないほど大人っぽくて、吸い込まれそうなくらい綺麗で潤んだ瞳。
顔全体が整っていて美人すぎるほど。
でも、容姿だけじゃない。
大きな瞳からは深い悲しみや苦しみが痛いほど伝わってきて、何よりまっすぐ見つめるその瞳から俺は守りたいという感情がわいた。
彼女のもつ独特の雰囲気が、俺の胸をかき乱した。
きっと、色んなことがあったんだろうか。
「今日は、診察しに来たんだけど胸の音だけ聞いてもいいかな?」
俺がそう言うと、遥香ちゃんは頷いた。
俺は、少しためらったが制服の下から聴診器を当てた。
ドクン!
落ち着けよ…冷静になれ。
どうしちゃったんだよ。
こんなのらしくない。
今は診察中だ、診察に集中しなきゃ…。
「喘鳴もあるし、体も熱いから吸入と点滴をした方がいいと思いますけどどうしますか?」
『いや、大丈夫です。』
大丈夫なわけないだろう。
熱も結構あるだろうしな…。
「だけど、苦しくないですか?」
『…平気です。』
「でも、」
『授業、始まっちゃうんで教室戻ります。』
そうは言ったもののやっぱり放っておけない。
俺は急いで遥香の手首をつかみその動きを止めた。
「離して!」
想像以上に、驚き怯える遥香。
やべえ…これじゃ悪化するだけだ。
俺はすかさず手を離し言葉を付け足した。
「今のままだといつ発作で倒れるか分からないよ?」
『別に。関係ない。』
そう言うと、遥香は保健室から出て行ってしまった。
この後のことは、医者でなくても分かる。
明らかに悪化はしているだろう。
俺は、結局その後遥香に会うことはできず病院に戻った。
それからというものの、俺は何1つ仕事が手につかなかった。
遥香のことを思わずにはいられず、ずっと頭から離れなかった。
なんだよ…。
どうしたんだよ本当。
しっかりしろよ。
でも、苦しそうだったな…。
はぁ…。
あの後、発作を起こしてなければいいけど。
想像以上に警戒心は強いし、下手に動くと余計に心を閉ざしてしまう。
どうすればいいんだ…。
ずっとここには来てないし、これからも来ないんだろうな…。
「せんせ?」
明日もまた、高校に行ってみるか。
彼女に会う方法はそれしかないし遠くからでも見守るか。
「佐々木先生!」
「え?」
「ぼーっとしてどうしたんですか?」
「いや。何でもない。」
看護師にまで心配されて、本当情ねえ。
まだ仕事中だしな。
残っている仕事を早く片付けて頭を冷やそう。
俺は、ほかの患者さんのカルテのデーターを整理していった。
最後のカルテは…
あ…。
『白石遥香』
俺は、パソコンから手を離ししばらく固まっていと後ろから近藤さんに声をかけられた。
「遥香ちゃんのことで考えてるんですか?」
「ああ。」
「やっぱり、具合よくなかったんですね?」
「まあ…。近藤さんって、小児科にいた時から 白石さんの担当をしているんですよね?」
「はい。」
「どういう感じでした?」
「珍しいですね。佐々木先生がそこまで患者さんの気にされてるなんて。」
何かを見透かされた感じがして急いで言い訳を始めた。
「いや!家庭環境も悪かったし、喘息で1人暮しっていうのも酷なんじゃないのかなって。発作出たら危ないし…。」
冷や汗が半端ねえ。
「まあ、実際難しいですよ。遥香ちゃんは。あの子が1番心を許していた山城先生から主治医の先生が変わったことで余計に警戒しているんだと思います。普段、クールで大人だから体調悪くても我慢しちゃってることも多かったんです。山城先生は、担当が変わる直前まで遥香ちゃんのそばで心のケアをしてきました。でも、やっぱり浅はかでした。心に負った深い傷は思っていた以上に良くはなっていなかったんです。先生?先生の目から見て、危ないって感じているなら遥香ちゃんはもう限界だと思いまよ。山城先生に電話をして、明日遥香ちゃんを連れてくることを手伝ってもらいましょう。早く治療しないと取り返しのつかないことになるかと。」
「そうだな。」
治療もそうだけど、体調と心の方もかなり心配だ。そっちの問題も後で取り返しのつかないことになる。
俺は、遥香のカルテに『要観察』と記してからカルテを片付けた。
よし…!
俺が遥香ちゃんのことを支えていこう。
この日、俺は固く決心した。