幼なじみが冷たい理由。
お母さんは、ベランダにいる知らない男の子に驚いた。
お母さんとおそるおそるベランダに出ると、男の子は痛みで少し涙目になっていた。
「大丈夫!?」
「…大丈夫。」
お母さんが駆け寄っても、泣かずにそう答えるだけ。
私の家は高層マンションの21階に住んでいる。
ベランダには緊急用の避難はしごがある。
男の子はそれを使って私の部屋のベランダに降りてきたのだ。しかし、途中で手を離してしまったらしい。
このマンションの避難はしごは防犯のため、はしごの扉を外すとサイレンが鳴るようになっている。今も大きな音のサイレンが鳴り響いている。
「え!?祐希!?どうなってるの!?」
上を見上げると、男の子のお母さんらしき人が顔をのぞかせていた。
「すいません!すぐ管理人室でこのサイレン止めてもらってきます!」