15歳の親
私とお母さんが揃うのを見て先生は、口を開いた。


「娘さんは―――妊娠されています」


私もお母さんも正直、耳を疑った。
ありえない、そう言いそうに次の言葉を待つ。


「本来ならば、人工中絶は犯罪となります。
しかし、母体の健康を著しく害する恐れのある場合などは認められます。
娘さんの事を考えると、中絶できる病院をお教えするところですが――――」


先生は、言葉の途中で躊躇って口ごもった。


「――――まさか!!」


お母さんは、何かを察したように小さく叫んだ。
お母さんのその様子を見て先生が小さく頷いた。


「娘さんは、妊娠期間の24週目で―――すでに中絶出来る期間を過ぎています」


その言葉で、私の世界は真っ白になってしまった。
何も考えられないとは、まさにこういう事なんだ。
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