花ちゃんは今日も頼くんの言いなり
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昨日の放課後、涼くん『三津谷』って呼ばれて心臓が一時停止した気がした私は、
ハチマキ交換をしてもらう絶好のチャンスだったって言うのに……
『……やっぱ、なんでもない。明日頑張ろうな!』
そう笑って教室を出ていってしまった涼くんを、ただ呆然と見送ってしまった。
そう、つまり。
まだ、ハチマキを交換出来ていない。
「美和子ちゃ〜〜〜ん、どうしよ!もう無理だよ〜」
「なんで昨日、あのタイミングで言わなかったのよ!!」
だって。だって、だって……。
涼くんから話しかけてくれたってことにまず頭フリーズしてたし、涼くんが私に何を言おうとしてたのかもすごく気になったし、涼くんのあまりにも綺麗な笑顔に見惚れちゃって……
あぁ、ダメだ。
思い出すだけでドキドキしてきた。
「もう、ハチマキ交換はいいよ。もしかしたら誰かともう交換したあとかも」
「バカ。周りと差をつけるんでしょ?もし仮に五十嵐が誰かと交換したあとでも!花も五十嵐と交換したかったんだってことを知ってもらうべきでしょ!?」
鬼の形相で私に喝を入れる美和子ちゃんに、半泣きの私。