花ちゃんは今日も頼くんの言いなり
「あ、ほら。五十嵐弟走るよ!」
「え?……もう?」
気づけば、あっという間に3走目。
頼くんがスタート位置について、ピストルの音がなる。
「っ、」
頼くんが駆け出す瞬間、頼くんの空気がガラッと変わって、普段の気だるげな雰囲気が嘘みたいに颯爽としている。
なにあれ、ギャップすぎる。
頼くんって体育祭とか真面目に参加するタイプなんだ。
「あーあ、あんなギャップ発揮しちゃって。こりゃ女子がほっとかないね」
「え!?ほっとかないって何が……?」
頼くんが着々とお題箱のあるエリアへ進む中、美和子ちゃんの言葉に予想以上の声の大きさで反応してしまった。
自分で自分の声の大きさに驚く。
同時に、周りにいた生徒達から冷ややかな視線を感じて、恥ずかしさからすぐさまシュンと小さくなる。
「なによ。そんなに大声出して。もしかして、花……五十嵐弟のこと気になってる?」
「え!?……な、なってないよ!!まさか、頼くんは航の友達だよ?弟みたいなもんだって、」
「私は親友の弟が好きだけど?男として」