花ちゃんは今日も頼くんの言いなり


あれから落ち着かない気持ちのまま、新商品のケーキを頬張って。

だけど、よく味は分からなかった。


紅茶がやけに苦く感じて、美和子ちゃんに『にがいね』って言ったら『美味しいけど?』って返されちゃうし。


私は、どうかしちゃったのかも。



「じゃ、この土日しっかり勉強しなさいよ」

「あいあいさ!」



午後9時を過ぎた頃。
こんな遅くまで私に勉強を教えてくれていた美和子ちゃんが帰ることになって、玄関までお見送り。


遅くなったから送っていくという私に、美和子ちゃんは『それじゃ帰りの花が心配だから』と頑なに首を縦に振らなかった。


美和子ちゃんらしいけど、もう外は真っ暗だし。私だって美和子ちゃんが心配すぎる。


「じゃ、また月曜日ね」


そう言って玄関のドアに手をかけた美和子ちゃんを見て、ハッとひらめく。


そうだ、航に送ってもらえばいいじゃん。
我ながら最高のひらめき。


「待って、美和子ちゃん!」

「え?」

「航〜!!ねぇ、航〜ちょっと来て〜!」


階段の下から、航の部屋に聞こえるように大きな声で叫ぶ。
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