花ちゃんは今日も頼くんの言いなり

《頼 side》


***




───夕方。

送ってくって言う俺の言葉に頑なに首を降った花が、玄関を出たのを見送ってため息をこぼす。


あーあ、何やってんだ俺。


理性が、きかない。



昨日、航の部屋で1人だった俺のところに花が来た時も。

密室に花と2人だけって状況に心臓がうるさくなるのを感じた。

それなのに、俺の隣で無防備すぎる花に、意識してんのは俺だけだって言われてるみたいで……イライラして。

結果、気付いたら押し倒してた。


今日だって……。
キスなんか、するつもりなかったのに。


あのまま、もし、涼の邪魔がはいらなかったらって思うと、俺は自分の理性に負けて、花を泣かせてたかもしれないって思うくらいに、

花のことになると、自分がコントロール出来ない。


花を大事に思う気持ちと、花なんか俺のせいで泣けばいいのにって……そんな歪んだ気持ちが混ざり合ってて。


本当は涼を好きだって言う花の気持ちを応援してるふりして、俺との接点を稼いでるだけ。


本当は、花を涼に取られたら……って、考えただけで吐き気がするからやめた。


つーか、絶対やだ。無理。却下。
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