花ちゃんは今日も頼くんの言いなり
Command 7
香水は使用禁止!
***
考えてしまうのは、頼くんのこと。
思い出すのも、頼くんのこと。
キスの意味は結局、聞けないまま。
家に帰ってからも頭の中は、頼くんとのキスでいっぱいで、鼻に残る頼くんの匂いに、胸がギューッと苦しくなった。
本当はもっと、さ?
涼くんと勉強会できた喜びを噛み締めるべきだと思う。
それなのに、涼くんよりもずっとずっと、私の奥底に住み着いて、私を内側からコントロールするのは……。
「頼くん……」
知らぬうちにその名前を声に出してハッとする。
休み時間だっていうのに、やけに人の多い教室の中で、今日何度目か分からないボーッとタイム。
あーもう!しっかりしろ、私!
気づけばボーッとしてるし、そういう時は大抵頼くんのことばっかり考えちゃうし。
……これじゃ、まるで私が頼くんを好きみたいだ。ううん、まさか!だって頼くんは航と同じ弟みたいなもんで……!
それに、私には涼くんっていう大好きな人がいるんだから。
そうだよ、ありえない。
ありえない……。
……本当に?