花ちゃんは今日も頼くんの言いなり
「……とにかく。決めた!私、頼くんに気持ち……頑張ってちゃんと伝えてみる」
「ん。そうして」
「ありがとう。涼くんとこうして話さなかったら、また逃げちゃってた気がする」
「こちらこそ。なんか、三津谷のおかげでやっと、頼に今までの借りを返せる気がしてる。だから、ありがとう」
涼くんに恋した時間は、この先、私の中できっとキラキラした思い出になる。
「……相手が頼だから、俺は身を引くんであって。もし頼に泣かされたらその時は、今度は全力で奪いに行くからそのつもりでいてよ」
「……涼くん」
「さて、ここは俺の奢り。三津谷は今から頼んとこ行って 、気持ち伝えてくるように」
涼くんの優しさがじんわり胸に広がる。
あんなに好きだったのに、今はこうして恋とは違う、目には見えない絆で結ばれたような、そんな心強さを感じながら、
「……ありがとう。私、行ってくるね!」
涼くんに背中を押されるがまま、私は1人、店を後にした。