花ちゃんは今日も頼くんの言いなり


「え、わ…電話!?…わわっ、」


慌てて指をスライドさせて耳に押し当てる。


「もしもし、花?」


頼くんの少しだけ高い、だけどとても心地いい声がまたまた私を包んだ。


「よ、頼くん?」


耳を支配するその声に、私の心臓はトクントクンと規則正しく反応する。


『俺が代わりにいってやろっか?』

「え…?」

『え、じゃねえよ。涼が行けなくなったなら、花 1人になるんじゃねえの?』


少しだけ優しく聞こえる頼くんの声は、電話越しに耳をくすぐって、何だか内容が良く頭に入ってこない。

…なんて呑気なこと言ってたら怒られちゃう!!



「あ…と、うん。多分そうなるよね…」


他のみんなはそれぞれペアが決まっているし、今更一人ぼっちになってしまった私は、迷わず1人で夜の校舎へと向かうハメになるだろう。


……ひぃ〜〜〜、考えただけで背筋が凍りそう。



『……花が1人でいいなら、俺はいいけど』

「…嫌だ!!1人は……嫌、です」

『なら、俺で我慢しとけば?』


頼くんの声を聞きながら、意地悪く口角を上げて笑ってる頼くんを想像する。
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