花ちゃんは今日も頼くんの言いなり
「頼くん……!」
「花、今あいつと回ろうか迷ってただろ」
───ギクッ
「だって、頼くん遅いんだもん。来ないんじゃないかって不安になって……!」
ムゥと頬を膨らませて頼くんと向き合えば、フッと小さく頼くんが笑った。
「俺が来るのそんなに待ち遠しかったんだ?」
「……ま、待ち遠しいとかじゃなくって!」
なぜか必死に否定してしまった私に「んな必死に言わなくても分かってるよ」と意地悪な顔をした頼くんに、また少しだけムッとする。
「バイトだったんだよ。混んで来て抜けるの意外と手こずった、遅くなってごめん」
そう言いながら、ごく自然に私の頭を撫でる頼くんの手を、不思議と嫌とは思わない。
「バ、バイト……?そんなの聞いてないよ!抜けて良かったの?」
涼くんがバイトだから代わりに頼くんが来てくれるって……。まさか、頼くんもバイトだったなんて。
知ってたら来て欲しいなんて言わなかったのに。