花ちゃんは今日も頼くんの言いなり


いつもは、開きっぱなしの教室の戸が今日はなぜか閉まっていたせいで、私が戸を開けた音にクラスメイトたちが一斉に私を振り返った。


「っ……」


なんで今日に限って戸、閉まってたのよ〜!


あぁ、見てる。みんなが見てる……!
やっぱり変かな?切るんじゃなかったな。

もう、帰りたい!
髪の毛よ早く伸びろ〜〜〜!!!


なんて、心の中で散々叫んだ私に聞こえてきたのは


「ちょ!どうしたの、髪!」


驚いたように大声で叫ぶ美和子ちゃんの声。

学年レク以来、家族旅行に行くという美和子ちゃんとは会っていなかったからそう言えば髪を切ったことも言ってなかったっけ。


「やっぱり……変?」

覚悟を決めて教室へ入りながら尋ねる私の顔は不安で歪む。

未だにクラスメイトが私の多分ヘンテコであろう髪に注目しているし、何なら今すぐ泣けちゃうよ?私、泣いちゃうんだからね!


「「「可愛い〜〜〜!!!」」」

「……え……?」



泣く準備を始めていた私に聞こえた、想像とは全く違う言葉。
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