花ちゃんは今日も頼くんの言いなり


「ロングも似合ってたけど、花ちゃんミディアム似合ってる〜!」

「どこの美容院で切ったの?真似したいくらい可愛い!!」

「うんうん!なんか夏っぽくていい感じ〜♪」


気づけば周りをクラスの女子に囲まれて、私は今、現状把握に時間がかかっている。



「ほんと、似合ってるよ!花、可愛い!」


驚いていたはずの美和子ちゃんも、クラスの女子の輪に加わって、私の髪をワシャワシャっと乱暴に撫でるから、もう何が何だか分からない。


え、何……?可愛いの?
ミディアムいい感じなの???本当に!?


「ほ、本当……?」

やっぱり私という生き物は、どこまでも限りなく単純な生き物で


さっきまで、あんなにもこの世の終わりみたいな顔をしていたくせに、クラスの女の子たちから褒めてもらえた今、

「へへへ……良かったぁ」


このとおり、すっかり気分はハッピー!


嬉しいなぁ〜なんて、もうクルンと指先に巻くことも出来なくなってしまった自分の髪を、サラッと撫でれば、愛用中のシャンプーの匂いがほのかに香った。
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