花ちゃんは今日も頼くんの言いなり

「そんなに髪が伸びる前に、他に好きなやつできるだろ……ってこと」

「他に、好きな人?」

「何その驚いた顔」


……言われてみれば確かに?
地面に髪の毛がつくほど伸びる前に、涼くん以外の誰かを好きになってた可能性も

あるのか。


「……いや、その。なんて言うか、その発想はなかったなぁって!」

「腹立つくらい、涼一色だな」

「は、腹は立てないで欲しいです」


コーラを買い終えたはずの頼くんが、また自販機にお金を入れ始めたかと思えば、


「ん、どれ飲む?」

そう言って顎の先で自販機を指した。


「え?……買ってくれるの?」

「わざわざ聞くな」

「えぇ、そんな……!えっと、じゃあ」


───ピッ


あ、

私が押すより少し早く、頼くんが自販機のボタンを押した。


「どうせ、花はコレだろ?」

「な、なんで分かったの?」


頼くんが押したのは、私が押そうと思っていたイチゴオレのボタン。

ガコンッ───と、イチゴオレが落ちてくる音と共に、頼くんが私の髪をさらりと撫でた。


───ドキッ



「俺、花が思うよりもずっと、花のこと知ってると思うよ」

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