花ちゃんは今日も頼くんの言いなり
頼くんの手があんまりにも優しく触れるから、心臓がドキドキ加速して鳴り止まない。
私が思うよりもずっと、私のことを……?
それってどういう意味?
「……航から嫌でも聞かされるから」
「へ……?」
「あいつ、シスコンだよな」
な、なんだ。そういうこと……か。
びっくりした。
もう少しで頼くんが私のことを、ずっと見てくれてたのかと錯覚するところだった。
……そっか、航から。
「生意気ばっかり言うけど、可愛いところもあるよ。バカだけど」
「ふ〜ん。そういや航も同じこと言ってたな」
「え?」
「すげぇ口うるさいけど、優しいところもあるって。バカだけど」
「えー!!それ、航が言ったの??バカって私のこと?航にだけは言われなくないんだけど」
「フッ、どっちもどっち。……ほら」
ぶくっと頬を膨らませた私を見て、小さく吹き出した頼くんが、大好きなイチゴオレを自販機から取り出して私へと差し出すから、一瞬で航のことなんか忘れてしまった。