花ちゃんは今日も頼くんの言いなり
「……じゃあ」
「ん?」
フワッと香る、ほのかに甘く、だけど爽やかで香水みたいにキツさを感じない頼くんの匂い。
制汗剤かな?
なんて、考えているうちに、グッと縮まってしまった私と頼くんの距離。
「ひとくち、ちょーだい」
「あ、」
私の手ごとイチゴオレを引き寄せて、ストローをくわえた頼くんにドキッと心臓が跳ねた。
「……あっま、やっぱ鳥肌立つ」
「じゃ、じゃあ…の、飲まなきゃいいのに!」
咄嗟に平常心を装ってみるけれど、ドキドキうるさい心臓が邪魔をして、上手く言葉を紡げなかった。
あぁ、もう。どうしよう。
変に意識して、次のひとくちが飲めないや。
「……飲まねぇの?」
そんな私を見て、口角をあげて意地悪く笑う頼くんは、悪魔なのかもしれない。