花ちゃんは今日も頼くんの言いなり

後でもう1回、頼くんに聞いてみよう。
なんで涼くんに頼まれたなんて言ったんだろ?

頼くんの優しさって、本当に分かりにくい!



「……三津谷、髪切ったんだな」


───!!!


頭の中で頼くんのことを考えていた私は、突然、涼くんに髪を切ったことに触れられてバクバクと痛いくらいに心臓が高鳴り始めた。


「うん、夏休み中に少し切ったんだけど……。ど、どうかな?」


長い方が好きな涼くんにしてみたら、聞かれても困るような事だったかもしれない……。
なんて、今さら思ったところで取り返しはつかないんだけど。

「いいじゃん、似合ってる」

「っ、あ、ありがとう」

爽やかな涼くんの笑顔にホッと胸を撫でおろす。
涼くんのことだから私じゃない子にも同じように答えるだろうし、気を遣ってくれたのかもしれない。

涼くんの言葉に特別な感情は一切含まれてないってことくらい分かってるけど。


「……可愛い」

「え、」

「三津谷見てたら短いのも結構アリかもって思ってきた」


───ドキッ


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