花ちゃんは今日も頼くんの言いなり
「ほら!卵黄だけ分けといたから、これ入れて!他の班より遅れてる」
「え、あ……ごめん!」
ボールの中に投入されたオレンジがかった綺麗な4つの卵を、今度は満遍なく混ぜていく。
私たちの班は、美和子ちゃんと私の他に、男子が3人。
なぜかオーブンレンジの温度を今から真剣な眼差しで微調整している坂本くん。
洗い物がんばる宣言したきり他の班の元へ旅だった松岡くん。
「はい、ではここで砂糖を投入しました!」「おぉ、すごい速さで混ぜていく〜!」「卵のオレンジが綺麗に練り込まれていきます」と、どこぞの料理番組のように隣でナレーションをする吉田くん。
みんな自由人すぎるけど、美和子ちゃんがいてくれれば私としてはそれで良い。
それに、男子3人は調理にノータッチ希望なおかげで「花がメインで作っていいよ」と、美和子ちゃんが気を利かせてくれた。
自分で作ったクッキーを、涼くんにあげる。そう思うと、ニヤニヤする口元を隠しきれない。
もらってくれるかな?
どんな顔するかな。
涼くんのことを考えながら、好きの気持ちをいっぱい混ぜ込む。