花ちゃんは今日も頼くんの言いなり
「別に、花を信用してないんじゃなくて!……恥ずかしいじゃん、そういうの」
俯いて、少し頬を赤らめて照れてる美和子ちゃんに、思わず私が心臓撃ち抜かれそうになる。
私はこんな可愛い美和子ちゃんに好かれてる男子が羨ましくて仕方ない!!!
「美和子ちゃん!がんばろう!私も心臓頭から飛び出そうだけど、涼くんにがんばって渡すから!美和子ちゃんも、ね?」
ラッピングをしているうちに、誰もいなくなってしまった調理実習室で
私の声がやけに響く。
ハッ、と周りを見渡して涼くんファンがいないことを慌てて確認する私を、隣で美和子ちゃんがフハッと吹き出した。
「心臓飛び出すの、頭じゃなくてせめて口にして?分かった!あげる。私も、本当はあげたい人がいる。でも……花には言いづらかった」
「え……?」
「私、好きなんだよね。航くんのこと」
「あ、そうなんだ!航のこと、……え!?航……、航のこと好きだったの!?」
ビックリしすぎて、調理実習室の銀色の机を思い切り叩きながら立ち上がる。
その瞬間、机からゴーンっと鈍い音が響いた。
そんな私を真っ直ぐ見て、大きく息を吸ってすぐに吐いた美和子ちゃんは
「これで、やっと花に秘密がなくなった」
そう言って、清々しく笑った。