花ちゃんは今日も頼くんの言いなり
みんなが菊池先輩の後に続いて声を出す中、私はその波に乗り遅れてしまった。
頭の中を涼くんの言葉がリフレイン。
涼くん、あれだけ沢山もらってたし、わざわざ誰からもらったかなんて覚えてないかもって。だからもちろん、感想なんて聞けないと思ってた。
円陣が終わって、離れていく涼くんの腕。
不思議と名残惜しさを感じないのは、……嬉しさを噛み殺すので精一杯すぎるから。
う〜〜!!!
今私、口元絶対ニヤけてる。
菊池先輩から「解散」の指示が出てからも、その場から動けないまま。
涼くんって、本当にスマートに何でもこなす王子様みたい。
天然じゃなかったら良かったのに……なんてたまに言ってる子もいるけど。
もし涼くんが天然じゃなかったら、きっと告白にイエスかノーで答えちゃうと思うんだ。それって、傷付く子も増えることになる。
だから、天然であることすら涼くんの優しさなんじゃないかって思う。
あぁ、もう……私ってば本当にどこまで涼くんが好きなの。
「三津谷、解散かかったよ」
「……あ、うん!ありがとう」
フリーズしたままの私に優しく声をかけて、友達と一緒に教室へと戻っていく涼くん。