花ちゃんは今日も頼くんの言いなり
その後ろ姿をポーッと頬を染めて見つめる。
あぁ、私、恋してるな。
フワッと揺れる柔らかそうな髪。
笑うとクシャッとなくなってしまう目。
おまけに、体中からマイナスイオンを出してるんじゃないかってくらい、癒し効果抜群で。
優しさで出来てる。
涼くんは間違いなく、優しさで
「花っ!」
───ビクッ
「何?そんな驚いて」
私へと駆け寄る美和子ちゃんに、思わず驚いて肩を震わせれば、怪訝そうに眉間にシワを寄せた美和子ちゃんが「戻るよ」と私の手を引いた。
「ごめん、ちょっとボーッとしてて」
「どうせ、五十嵐に見惚れてたんでしょ」
「ちっ、違わないけど……」
美和子ちゃんってば、また大きな声で。
「そう言えば、花はどーすんの?ハチマキ」
「……え?どうするって」
「交換、しないの?五十嵐と」
「せっかく同じ組なのに」と続けて、私の頭に巻かれたハチマキをツンツンとつつく。
……ハチマキかぁ。
確かに、うちの学校は好きな人とハチマキ交換するのが体育祭の醍醐味みたいなところはある。
なんなら、体育祭で『ハチマキ交換してください』って言うのは告白も同じ。