花ちゃんは今日も頼くんの言いなり
いくらド天然な鈍感涼くんだって、さすがに気づくと思う。
だから、もしハチマキをねだるとすれば、それはそれは……勇気のいることだ。
「五十嵐のハチマキ。クラスの大半が狙ってるだろうね?」
「うっ……」
「いいの?誰かに先越されても。五十嵐のことだから『いいよ〜』なんて、アッサリ適当な子にあげちゃう可能性だってあるよ」
それは……イヤだけど。
「美和子ちゃんは?航と交換するの?」
「バカ言わないでよ。さすがに白組の私が、紅組のハチマキと交換なんて目立つことしたくない!……あっちから交換して欲しいって言われたら、別だけど」
「ま、ないな」なんて言いながら、美和子ちゃんの視線は空を仰ぐ。
そっか、航は紅組だもんね。
てことは、同じクラスだから頼くんも紅組ってことだ。
私たちとは敵か〜。
好きな人と同じ色のハチマキを巻けるって、当たり前じゃないんだな。
「花はせっかく同じ白組でしょ?絶対、他の誰よりも先に五十嵐のハチマキ!ゲット!してきなさい!」
「……え〜!でも、」
「でもじゃない!!」