花ちゃんは今日も頼くんの言いなり
明日は体育祭本番なわで……。
つまり、今日の放課後か、明日の朝までに涼くんに声をかけないとハチマキを交換できない。
でもその前に誰かと交換しちゃう可能性だってあるわけで。
「……断られたらどうしよう」
「聞こえないフリしたら」
「え!?無理、一瞬でブロークンハートだよ」
「大丈夫。花の心は衝撃で液体になるけど、冷蔵庫で固めりゃ元に戻るから」
「あ、そうなんだ……良かった、って美和子ちゃん面白がってる!?」
科学で習った物質の三態を思い出す。
こんなところに盛り込んでくるなんて、美和子ちゃんの秀才!!!
でも、覚えてる私もすごいよね。
……まぁ、科学なんて60点以上取れた試しがないんだけど。
「とにかく!五十嵐とハチマキ交換すること。で、これを機にグッッと距離縮めて、周りと差をつけよう!ね?」
ひぇ〜〜〜!!
もしかして美和子ちゃんってら頼くんよりもスパルタ!?
でも、もしハチマキ交換で周りと差がつくなら……頑張りたいな。
「断られたら、笑ってね」
「腹抱えて笑うから安心して」
ニッと笑って私の背中をバシンと叩いた美和子ちゃんに、思わず「い"っ」と声を漏らす。
馬鹿力……!