ぬくもり
ふいに診察室のドアが開く。



看護婦さんに呼ばれ、泣いてグシャグシャなままの顔で中へ入っていくと、優も泣いたままのグシャグシャな顔で、一生懸命に私を呼び手を伸ばす。



「優、ごめん。
ごめんねぇ。」



私は人の目も気にせず、泣きながら優をきつく抱きしめた。


「これぐらいでしたら、すぐ良くなりますよ。

傷も目立たないで済みますから。

お母さんがそんなに泣いてたら、優ちゃんも泣きやめませんよ。」


医者のおどけた言葉で優に目線をやると、泣きながら心配そうな顔で私を覗き込んでいる。



泣きすぎて声も出せない私は、医師の言葉に大きく頷き会釈して診察室をあとにした。




会計を待ってる間も、薬を待ってる間も、私は泣きっぱなしだった。



そんな私を1番つらい思いをした優が慰めてくれる。



「まま、めーんね。めんね。」



何も悪くないのに謝り続ける優。



「優は悪くないよ。
悪いのはママなんだよ。

優、ごめんね。」



泣きながら謝る私の頭を優が撫でてくれる。



「いーと、いーと、まま、いぃとだお」



小さな手で、何度も何度も…。

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