ぬくもり
私は司を送り出した後も、昨日の事で頭がいっぱいで家事をする気にもなれず、優がお気に入りのビデオを見て楽しそうに踊る姿を眺めながら、ソファーに座りこんでいた。



今日は快晴。
青空が広がり、雲1つない。


でも、私の心は裏腹に、ぼんやりと雲が影をつくっている。




突然の電話の音に驚き受話器を取ると、もう2度と会う事がないと思っていた女からの電話だった。


そう、瀬田幸代からの電話…。



彼女は、私に話があるので会いたいと言った。



今更この人と話す事なんて何もない。



もちろん私は断ったけど…最終的に承諾してしまった。


喫茶店を指定されたけど、優がおとなしくしてる訳がない。


彼女をうちに呼ぶしかなかった…。



電話を切った瞬間から、まるで年越しのように私の大掃除は開始された。



拭き掃除、掃除機かけ、窓拭き、玄関掃除、トイレ掃除、する事は山のようにあった。



私は家中をピカピカに磨き上げていく。


掃除の後は、自分の身支度を整えながら優にお昼ご飯を食べさせる。



私がどんなに頑張って着飾ろうとも、彼女にかなわない事くらいわかっていた。

それでも、いつもより念入りなメイク、いつもより念入りなセット、家にいるから自然な格好だけど、さりげなくお洒落な服を選ぶ。


自分の支度に余念なく彼女を待った。

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