ぬくもり
「あっ!
飲み物でも買ってくるね。

優ちゃん、一緒に行こう!

お菓子買ってあげる!」



優は、お菓子と聞いた瞬間からテンションがあがり、嬉しそうに沙耶と手を繋いで病室を出て行った。




「そこに椅子があるから、座って。」



彼女が指し示した場所から司が椅子を取り、私の側に椅子を置いてくれる。


私と司は黙って椅子に腰掛けた。




「本当に来てくれてありがとう…」


彼女の目には涙が浮かんでいる。


「だから、来たくて来たわけじゃないから。」


苛々しながら、私はまた同じ言葉を繰り返す。



「美沙がそう言うのは当たり前だよね。」


タオルで目元を押さえながら、神妙に彼女が言う。




同情でもしてもらいたいの…


私はこの人が何を言おうと、どんなに哀れで惨めだろうと騙されたりしない。



絶対にこの人を許さない。
絶対に…



私は射抜くような視線を、彼女からそらさずにいた。



「一言だけどうしても美沙に謝りたかった…

許してもらえないのはわかってるの。

それでも…

それでもどうしても、最後に謝りたかったの。」




謝りたかった…?
私に…?

< 162 / 202 >

この作品をシェア

pagetop