ぬくもり
「ただーいま!
美沙さん、翔は?」


学校から帰ってきた翔君がドタドタと走ってくる。


「シッー!寝てるよ。」


私は小声で答える。


「すごーい!
家の中ピカピカだね。」


少しだけ声のトーンを落とした凌君が、私へご褒美のような笑顔をくれる。



「お腹空いてない?
おやつにホットケーキ作ろうか?」


「ヤッタ!!」


凌君は小さくガッツポーズを作る。



ホットケーキが出来上がると、匂いにつられたように優も翔君も起きてきて、みんなでおやつのホットケーキを食べる。


「凌君、たまにお友達と遊んできてもいいんだよ。
翔君なら心配ないよ。」



翔君のお世話で遊べないと、前に凌君が言ってたのを思い出し勧めてみる。



「いいよ。
僕がいないと翔が寂しいもんな?」


「にーちゃ!!」



翔君は話の内容を理解できてるのか、凌君の首にからみつく。



「じゃ、凌君にお留守番お願いして晩御飯の買い物に行ってこようかな。
何食べたい?」



「オムライス!」
「バーグ!」



凌君と翔君が同時に言った。


「凌君はオムライス?
翔君は?」



「翔はハンバーグって言ったんだよね。僕もハンバーグがいい!」



凌君がお兄ちゃんらしく、翔君の希望を優先させる。


「わかった。
じゃ、お留守番しててね。」



私は凌君に2人を任せ夕飯の買い物に行く。


今日はオムライスとハンバーグ!!


私はいそいそと買い物を済ませ、夕食の支度を始める。


私が夕飯の支度をしている間も、凌君はずっと2人の相手をしていてくれる。



「ご飯だよー!!」


テーブルの上のオムライスとハンバーグを見て2人は目を輝かせる。


「ヤッター!!」



思ったとおりの2人の笑顔。


優も大好物のハンバーグとオムライスを前にニコニコしている。


< 171 / 202 >

この作品をシェア

pagetop