ぬくもり
私は今日の幸せな時間を思い出していた。



初めて家族3人で外での食事。



優は喜んではしゃぎながら沢山食べた。

クリームだらけの優のベタベタな口を司がニコニコしながら拭いてくれた。



どこから見ても優しいお父さんだった。


司と優が、一緒に入った初めてのお風呂。


中で2人が、どう過ごしていたかはわからないけど、優のはしゃぐ声で、とても楽しそうなのはよくわかった。



そして今、初めて3人で寝る事になった。



ずっと、こうしていたい。


この時間が、永遠に続けばいいのに…。


司はどうして今日急に、みんなでご飯に行ったり、優とお風呂に入ったり、みんなで寝たり、今までになかった事をするの?



まるで最後の思い出を作ってるみたいに…



ねぇ、司…
私達やっぱり最後って事なの?



最後に、こんなに優しいなんてずるいよ。



私は段々悲しくなり、布団の中で声を殺して泣いていた。



「美沙、寝た?」



突然の司の声に驚き私は寝た振りをする。



寝たふりを続けるうちに、いつしか私も眠りに吸いこまれてしまう。

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