ぬくもり
私達は売店で飲み物を買い、広い芝生の中の木陰の下に敷物を広げる。



私達以外にも、沢山の家族連れが敷物を敷いてお昼を食べたり、ゴロゴロしたりしながら、日曜の昼下がりを楽しんでいる。



「じゃあ、食べようか!」


私は優の手を持ってきたお絞りで拭いてから、司の皿におかずを取り分け、皿と割り箸を渡す。



「「「いただきます!」」」



みんなの声が明るい青空の下ではもる。


優と司は、早速おにぎりをほおばり始めた。


私もおにぎりに手を伸ばす。



青空の下、家族で食べるお弁当は、この上なく美味しくて、幸せの味がした。


私は、楽しそうな司と優の姿を眺め、幸せを実感していた。


この幸せが永遠に続けばいいのに…。



お昼ご飯も食べ終わり、司はそのまま仰向けに横になる。



「こうゆうのも気持ちくていいなぁ。

もっと早くにこうするんだったなぁ…」




司が青空を見上げながら、ポツリと呟いた。



最初で最後というような司の言葉に、言い出そうとしていた言葉を、口にする事ができなくなってしまう。




やっぱり…最後なの?



だから司は、優との思い出をいっぱい作ろうとしてこんなに優しいの?



私達…もう戻れないの?



私の気持ちとは反対に、はしゃいでる優が、司の真似をして同じように仰向けに横になった。



司と優は、横になったまま楽しそうにじゃれている。




家族でのそんな楽しいひと時も、今の私にはセピアがかって悲しく映る。


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